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髪型の自由と「校則」の合理性

大阪の府立高校の女子生徒が髪を黒く染めるよう強く指導されたことが原因で不登校になったと訴えた裁判で大阪地方裁判所は「髪の染色や脱色を禁止した校則は学校の裁量の範囲内で、頭髪指導も違法とはいえない」とする判断を示しました。

エラー|NHK NEWS WEB

(2021年2月16日NHK)

校則の合理性についてはこれまで河田弁護士を中心に複数のブログを書いています。

今回は、「染色や脱色を禁止した校則」の合法性及び当該校則に基づく生徒指導の合法性などが裁判となった事例のご紹介です。

裁判所は、校則自体は教育目的の観点から有効とし、かかる校則に基づく生徒指導も問題がないとしました。

この点、原告となった生徒は、「もともと地毛が茶色であった」にもかかわらず、教師が「本当は地毛は黒である」ということを前提に生徒指導をしたという事案のようです。そうなると、➀本当に地毛が茶色(黒ではない)であったのか、②そうだとすると黒を前提とした指導に落ち度はないのかが問題となります。

報道では、➀の点の真偽まで明らかではないのですが、②の点に関し、結局、教師が黒であると思った理由に相応のものが認められるので(=地毛が黒と信じるには理由がある)、教師による指導は違法ではないと判断しているようです。

学校によっては地毛が茶色の場合には「地毛証明」「茶髪証明」なるものの提出を求めるところもあるようで、何が自分の地毛なのかを生徒の側で立証できない限り、教師による生徒指導はおよそ許されることとなりかねません。

そもそも茶髪か否かで規律維持をするしないという考え方もあまり合理的とは思えません。社会の中では自由な髪形で活躍している方も多数います。髪型、髪の色を強要することはやはり個人の人格権、自己決定権の観点に照らし、問題が多いと思います。

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