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教員免許の再取得の可否とその他国家資格との均衡について

先日のブログ記事を読んだ読者の方から、次のようなご質問を受けました。

ブログには「いったん失った国家資格の再取得が認められている中で、教員免許のみを一切、再取得不可とすることはバランスを欠くため」とありますが、たとえば弁護士とかだと万が一資格を失った場合再就職できるのでしょうか?

というものです。

今日は、この点についてもう少し深堀りしたいと思います。具体的には、弁護士や医者が刑事事件を起こした場合の資格再取得について説明します。

まず、弁護士です。

【弁護士登録の取り消しについて】

弁護士については弁護士法17条で「弁護士が第7条各号のいずれかに該当するに至つたとき」には「日本弁護士連合会は、・・・弁護士名簿の登録を取り消さなければならない。」としています。

そして、弁護士法7条1号は、「禁錮以上の刑に処せられた者」を弁護士の欠格事由としています。

なので、いったん弁護士登録した者が禁固以上の刑に処せられると、必然的に弁護士登録を抹消されるのです。

【将来の再登録について】

では、未来永劫、弁護士の再登録が不可能か、というとそうはなっていません。

刑法では、いったん受けた刑罰について、時の経過をもって当該言渡しのあった刑の効力を失わせるという規定があります(刑法34条の2)。これは要するに、過去に言い渡された有罪判決の効力が、将来にわたって消滅することを意味します。

その期間は、禁固以上の刑の場合で10年で、罰金の場合は5年です。

そのため、弁護士が禁固以上の刑罰に処されても、10年間何もなく経過すれば再度の弁護士登録が可能となるのです。

次に、医師についてです。

【医師免許の取り消しについて】

医師については医師法7条で、医師法4条各号に該当する場合に、戒告、3年以内の医業停止、免許の取り消しの処分をすることができるとされています。

そして、医師法4条3号は、「罰金以上の刑に処せられた者」を医師の欠格事由としています。

なので、医師免許を取得した者が、罰金以上の刑に処せられた場合、医師免許が取り消される場合があります。

【将来の再登録について】

医師免許の再登録についても弁護士と同様に、その余地があります。

医師法7条2項では、医師免許取り消しの事情がなくなったときやその後の事情から免許の再取得を適当と認めるに至ったときには再免許を与えることができると定めています。

ここでいう「医師免許取り消しの事情がなくなったとき」には、弁護士の項で論じたように刑の言い渡しの効力が喪失した場合を含みますので、刑罰の言い渡しから相当期間の経過により、「医師免許取り消しの事情がなくなったとき」に該当するものとして免許の再取得の余地が生じます。

以上のように、弁護士であっても医師であっても、一度登録が取消になっても、再登録が可能となっています。そのため、教員によるわいせつ犯罪を理由として、教員に対してだけ、教員免許を未来永劫与えないとすることは、他の国家資格などと比較しても余りにも重すぎるペナルティとして、近代法治国家の原則に照らし、バランスを欠くと判断されたものです。

ちなみに、上記では、弁護士と医師とを比較しましたが、弁護士の場合には禁固以上の刑により必ずいったん資格を失いますが、医師の場合には、罰金以上の刑に処せられた場合に、事情に応じて失う余地があるという違いがあります(上記のアンダーラインで違いを指摘しています)。

違いの詳しい理由まで調べたことはありませんが、おそらく弁護士については禁固以上の刑罰を理由として必ず登録取り消しとし、他方で医師については対象を罰金以上と広げつつも、登録取り消しになるかどうかは事情に応じて判断するようにすることでバランスをとっているものと思います。

このように、法律の世界では、他の法律とのバランスを常に意識し、相互に均衡がとれるように構成されています。そのため、教員によるわいせつ犯罪の再発防止の観点から、教員免許の再取得を一切禁止するよう求めるのみでは、思うような結論に至らないと言わざるを得ないのです。

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