こんにちは!今回は、「おちょやん」について、前回の話の続きをしていきたいと思います。
まず、
➁未成年に損害賠償請求できるか。
について。
結論は、「概ね11歳~12歳以上であれば、可」となるでしょう。
不法行為によって損害賠償請求をする場合、その相手方に責任能力(自分の行為が違法として法律上非難されることを認識できる能力)が必要です。判例上、概ね11歳~12歳であれば、この責任能力が認められてしまいます。
ただし、判例は、子どもが他人を怪我させてしまったというような事案で上記判断をしています。今回は、「不貞を応援」という事案であり、11歳~12歳頃の子どもでは、その意味を理解できているのか怪しいので、責任能力が否定される可能性もあると思います。
なお、子どもに責任能力がない場合は、親の監督責任として、親に対し損害賠償請求される余地があります(民法714条)。
続いて、
➂密会だけで、不貞といえるか。
これは、「原則、不可能」になります。
不貞=性交渉を指しますので、ただ会っていただけでは不貞にはなりませんし、慰謝料の対象とはなりません。
ただ、相手が「会っていただけだ」と言っても、時間帯や、場所、シチュエーション等によっては、当然不貞をしていただろうと推認される可能性はあります。
たとえば、二人きりで深夜ホテルに泊まっていたとして、それで「会っていただけ」とされることは考えにくいでしょう。他にも、手をつないで外を歩く行為につき、それ自体不貞ではないが、その行為から不貞を推認できるとした例があります(東京地裁H17.11.15)。
また、親密なやり取りをうかがわせる証拠が多数ある場合であれば、「不貞ではないが、そうしたやり取りによって平穏な夫婦生活を侵害した」と主張することも有りえます。但し、この場合、慰謝料としては低くならざるを得ないでしょう。
たとえば、「会いたい」「好きだよ」などのメール送信をしていたことをもって、30万円の慰謝料を認定した例があります(東京地裁H25.3.15)。
最後に、④不貞を許可した(許可するような言動をした)場合でも、慰謝料請求できるか。
これは、「諸事情に照らしてケースバイケース」と考えるほかありません。
そもそも、慰謝料請求ができる場合というのは、他者の何らかの権利や法律上保護される利益を害した場合です。不貞の場合は、配偶者に対する貞操請求権や、婚姻共同生活の維持という権利を害するため、慰謝料請求ができるものと一般に解されています。
そして、それら利益は個人的な利益ですから、個人の自由で放棄しても構いません。
そうすると、許可を与えていた場合、これら権利・利益を放棄したものとして、理屈上は慰謝料請求をお声無くなりそうです。
もっとも、ポリアモリーを前提としているような交際は別として、一般的に配偶者に不貞を許可する事態とは考えにくいです。
許可の経緯や、言い回し、不貞を知って黙認していた期間等の諸事情に照らし、真意に基づかない許可であることが明らかで、かつそれを配偶者も不貞相手も知っていたような場合であれば、慰謝料請求できる可能性はあります。
以上、おちょやんについての色々でした!
おかみさんの旦那さんに対する回答は、
「不貞を許可したことについては、やむなく許可を強制されたような事情がないか、検討の余地があります。ただし、会っていただけでは慰謝料の対象にはならないですね。本当に会っているだけか、少し証拠を集めてみてください。それから、ちよちゃんに対して、年齢というハードルは気にしなくてよいですが、まずは不貞の事実が明らかになってからでないと慰謝料請求は難しいですね。」、という感じになるでしょうか。
図らずもクリスマスイブに、不貞の話をすることになってしまいましたが…皆さんよい一日をお過ごしください。