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報道紹介「男児火遊び原因と賠償命令 アパート焼死で徳島地裁」

 徳島市で2018年3月にアパートが全焼した火災で死亡した男性=当時(38)=の母親が、当時8歳だった近所の男児(11)の火遊びが原因の可能性があるとして、男児の母親に約4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、徳島地裁(秋武郁代(あきたけ・いくよ)裁判官)は2日、男児らの火遊びが原因で母親は男児の監督義務を怠ったと認定し、約3160万円の賠償を命じた

 判決によると、火災は18年3月15日午後3時45分ごろ、徳島市の2階建てアパートで発生、男性は逃げ遅れて焼死した。

 秋武裁判官は地元消防が実況見分や男児らに対する事情聴取の結果をまとめた火災原因の報告書を踏まえ、男児が同級生と共にアパートの古紙置き場でマッチを使って火遊びをし段ボールに着火したのが原因と認めた。

 その上で母親は、男児が意に沿わないことを同級生から命じられても断れない傾向にあると知り、火災直前には男児が「マッチ」とつぶやいて外出するのを現認していたとして同級生との火遊びを予見できたと指摘。「言動に注意を払い、火遊びをしないよう適切に指導、監督していれば容易に火災を回避できたが、その形跡は見当たらず監督義務を怠った」と重大な過失があったとした。

2021年09月03日
共同通信社

未成年者の不法行為に対して母親の損害賠償責任が肯定された事例です。

未成年者の不法行為責任については、未成年者自身の責任能力の有無が問題となり、おおむね12歳前後がその境目とされています。このことについては以下の記事で詳細をご案内したことがあります。

本件報道では火を付けてしまった未成年者は8歳ですから、その責任能力は否定されるべきものです。そのため、親権者である母親にその責任追及ができないかが争われたものです。

そして判決では、母親には火災直前の未成年者の言動などに照らし、監督義務違反があったと認定をしています。

この判決からは、➀日ごろから未成年者の言動については注意を尽くすべきこと、②何か問題のある言動に気が付いたら未成年者に確認をしたり、危険な行為に至らないように尽くすべきことが大切だと分かります。

子どもの火遊びが人の命に関わること、その結果、保護者自身もまた莫大な責任を問われることを深く自覚しなければなりません。

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