ここ最近、未成年者が特殊詐欺の「受け子」として犯罪に関与し、逮捕に至る事案が後を絶ちません。
特殊詐欺は以前は、「オレオレ詐欺」と呼ばれていた詐欺の手法を代表に、その他の手口も含めた類似手口の詐欺の総称です(詳しくは下記の警察庁のウェブサイトをご参照ください。)。
これら特殊詐欺は大きく➀被害者に連絡をして詐欺を働く者、②実際に被害者からお金を受け取る者に役割が分かれています。そして、この間、②の役割を未成年者が担うケースが増えているのです。
理由は様々あると思いますが、どうやらSNSを通じて受け子のアルバイトを知り、関与に至ったケースがそれなりにあるようです。SNSで気軽、簡単な誘い文句に誘われて罪の意識がないもしくは希薄なまま犯行に関与してしまっているのです。
この点、いわゆる詐欺は、➀欺罔行為(他人をだますこと)、②錯誤(当該他人が事実を誤認すること)、③処分行為(騙された人なりが錯誤した状態でお金などをだました人なりに渡すこと)、④➀から③が一連の因果の流れでなされることが犯罪成立の構成要件とされています。
そして、受け子はまさに③に関与するものなのですが、結局、➀と②に関与していないがために罪の意識が持てず、安易に受け子を担ってしまう未成年者が増えているのだと思います。
しかし、➀と②に関与していなくても、受け取った被害金の大半は主犯者に渡し、自分自身はごくわずかの報酬しか受け取っていなくても詐欺の共犯であることには変わりありません。しかも、多くの事案では受け子のみが逮捕され、主犯者は逮捕に繋がらないことが多いです。
このように、未成年者による受け子は、列記とした詐欺の共犯であるし、主犯者からも食い物にされているに過ぎません。日ごろのお子さんの様子を見て、SNSなどで見知らぬ他人と不用意につながっていないか改めて注意が必要です。