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いじめ被害を弁護士に依頼した場合の対応について

1 いじめ被害と弁護士への相談や依頼(介入)について

 いじめは、被害者の教育を受ける権利を侵害し、心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、生命身体に重大な危険を生じるおそれがあることから、これを防止しなくてはなりません(いじめ対策推進法1条)。

 いじめを受けた被害者は、単に心身を傷つけられたというだけでなく、不登校や転校に至り、その後の人生に長いこと場合によっては生涯に渡り回復し難い深い傷を負うことになるのです。最悪のケースでは、いじめをきっかけに自殺したり死亡したりすることもあり、大きな社会問題になっていることはご承知のとおりです。

 これら被害は当然、法的にも許されるものではなく、いじめ加害者や学校などには可能な限りの責任追及がされてしかるべきです。

 その際、いじめ被害の回復やその対応のために、弁護士への相談や依頼(介入)は非常に有益だと考えます。

 というのも、いじめは第三者の目に触れにくい方法で行われることがあり、いじめ被害を訴える際の証拠収集に苦労すること、いじめ加害者は多くは複数に渡ることがあり、誰にどのいじめについての責任を追及するかの判断が難しいこと、いじめ加害者は容易に自己の責任(とりわけ法的な責任)を認めることはない傾向にあること、学校や教師(担任)についてもいわゆる隠蔽体質がまだまだ残っており、「事なかれ主義」による解決を試みようとしがちであること、さらにはいじめを受けた被害者やその家族にも原因ないし落ち度があるかのような態度をとる加害者や学校もあること、法的責任の追及といっても加害者や学校、教師にどのような根拠で何をどの程度請求できるかの判断が難しいことなどが理由です。

2 いじめ被害の弁護士への相談について

 いじめ被害について、上記の理由から弁護士に相談をすることがとても重要だといえます。その際、当然、必ず弁護士への依頼をしなくてはいけないとうことはないのでまずは気軽にご相談ください。

 弁護士は守秘義務を負うので聞いた内容を他者に伝えることはありません。また、いじめ加害者や学校と利害関係がある場合には、事前にご相談自体をお断りするので加害者らと通じている弁護士が相談を受けることもありません。

 ご相談の際には、いつから誰に、どのようないじめを受けてきたのか、そのことについて学校にはどのように相談をしてきたのか、いじめの結果、現在、どのような状況なのかをお聞きすることとなります。なので、これらに関係する資料があるようであれば確認のためにお持ちください。

 なお、いじめ被害についての弁護士への法律相談費用は、以下のページをご参照ください。

「法律相談費用」

法律相談費用 - 岡山香川架け橋法律事務所|弁護士
問題解決の架け橋になることを目指した法律事務所です。サクラサイト、交通事故、離婚、労働事件など。

3 いじめ被害の弁護士への依頼(介入)について

 ⑴はじめに

ご相談の上でいじめ被害の解決のために弁護士にご依頼を頂き、事案の解決のために弁護士が介入する際には、具体的には次のようなご依頼になることが多いです。以下、順にご説明いたします。

①いじめについての実態調査の申し入れ

②いじめ加害者や学校に対する法的責任の追及(損害賠償請求等)

③いじめの内容がネットに及んでいる際の投稿記事の削除

 ⑵①いじめについての実態調査の申し入れ

 いじめ対策推進法では、いじめが生じた際の国や地方公共団体、学校などの責務を規定しています。そこでは、いじめの事実があれば調査を実施すること、いじめをやめさせること、再発防止策をとることなども規定があります。

【いじめ対策推進法】

(いじめに対する措置)

第二十三条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。

2 学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。

3 学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。

4 学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする。

5 学校は、当該学校の教職員が第三項の規定による支援又は指導若しくは助言を行うに当たっては、いじめを受けた児童等の保護者といじめを行った児童等の保護者との間で争いが起きることのないよう、いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

6 学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄警察署と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない。

 これらに加えて、当該いじめが「いじめ重大事態」に該当する場合には、いじめ実態調査の申し入れが可能です。いじめ重大事態も含めたいじめ対策推進法の詳細は別のページに解説していますのでご参照ください。

「いじめ対策推進法について」

 ⑶②いじめ加害者や学校に対する法的責任の追及(損害賠償請求等)

 ア 法的責任の根拠

いじめ加害者らへの具体的な法的責任の追及はすなわち損害賠償請求となります。いじめ加害者への損害賠償請求の法的根拠は民法709条に求めることが可能です。他方で、学校に対しては公立学校であれば国家賠償法、私立学校であれば民法715条などに根拠を求めることが可能です。

 イ 責任追及の方法①(内容証明郵便の送付と示談交渉)

  その責任追及の具体的方法としては、たとえばいじめ加害者に対してであれば、弁護士による代理人名義で内容証明郵便を送付し、いじめの存在を前提としてこれを直ちに止めること、生じた損害に対する賠償をすべきこと、謝罪などを通知することが考えられます。

  いじめ加害者は未成年者であることが多いでしょうから、その場合には法定代理人親権者に対して内容証明郵便を送付することとなります。

  内容証明郵便は、これを受け取ったことが郵便局による配達記録として残りますので、こちらの言い分がきちんと相手方に届いたことの証明となります。また、内容証明郵便は個人で作成し、送付することも可能ですが、弁護士が代理人の名義で送付することは弁護士がいじめの問題に直接介入し、そのことに対して法的責任をいじめ加害者に通告するという意味で非常に大きな効果が期待できます。

  内容証明郵便の送付の結果、いじめ加害者との間で協議、交渉が実現でき、示談の条件に折り合いが付けばそこで示談が成立します。当然、弁護士が示談書を作成するので内容については安心してください。

 なお、示談交渉のメリットとデメリットについては以下のページをご参照ください。

「示談交渉による解決のメリットとデメリット」

示談交渉による解決のメリットとデメリット - 岡山香川架け橋法律事務所|弁護士
弁護士として事件の依頼を受ける際、訴訟や調停などといったいわゆる「法的手続き」ではない「示談交渉」による受任形態があります。 示談交渉という言葉自体は、今や多くの人...

 ウ 責任追及の方法②(調停)

  上記の内容証明郵便と引き続く示談交渉によっても協議が整わず、解決しない場合には民事調停の申し立てをすることが考えられます。

  民事調停は、これを裁判所に申し立てることで相手方を裁判所に呼び出し、調停委員に間に入ってもらい事案を話し合いにより解決することを試みるものです。

  なお、調停制度のメリットとデメリットについては以下のページをご参照ください。

「調停制度のメリットとデメリット」

調停制度のメリットとデメリット - 岡山香川架け橋法律事務所|弁護士
先日は示談交渉のメリットとデメリットについて書きました。 そうなると今度は調停や訴訟制度のメリットとデメリットも知りたいとなるでしょうから今日はまず調停制度のメリッ...

 エ 責任追及の方法③(訴訟、裁判)

 示談でも調停でも解決しなかったもしくはそもそも示談や調停で解決する見込みがない場合には、訴訟、裁判を起こすことになります。

 訴訟では、原告の主張と証拠に基づきその請求に法的な根拠があればこれを裁判所が認めますし、逆に主張や証拠が不十分であれば請求は棄却されます。

 示談交渉や調停と異なり、相手方が責任を否定するような場合でも、裁判所が最終的な結論を出してくれるというメリットがあります。

 なお、裁判がどのように進行するかは別のページに説明していますのでご参照ください。

「裁判はどのように進んでいくのですか?」

裁判はどのように進んでいくのですか? - 岡山香川架け橋法律事務所|弁護士
...

4 まとめ

 以上のように、いじめ問題について弁護士に相談、依頼をしてもらうことの意義をご紹介してきました。受けた人生被害について加害者や学校へのしっかりとした責任追及のために、弁護士の活用をご検討下さい。

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