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養育費の滞納と差し押さえ財産の特定について

離婚に際して養育費の取り決めをしたが、後日、支払が滞るようになった場合、どのような解決方法があるでしょうか。

この点、養育費の取り決めが執行受諾文言付きの公正証書によるとか、調停調書であるとか、和解調書による場合には(すなわち単なる当事者間で作成した合意書以外)、相手方の財産の差し押さえの余地があります。

問題は、差し押さえ対象財産の特定です。裁判所は上記書類に基づき差し押さえ命令を発する余地があるものの、具体的に相手方のどの財産を差し押さえるかは請求する側で調査、特定する必要があります。

しかし、離婚して長年連絡もないようだと現在の勤め先も分からないし、メインの銀行口座も分からないことでしょう。

そうした中、相手方の財産特定のためには、民事執行法に基づき、➀財産開示手続き②情報取得手続きという手段をとることが考えられます。

まず、➀財産開示手続きについてですが、これは裁判所から債務者に対する呼び出しを実施し、有する財産の開示(すなわち債務者の財産について債務者自身に説明させること)をさせる手続きです。

債務者自身に説明をさせる制度のため、債務者がそもそも裁判所に出頭しないことが多く、この点、実効性に問題があるとされていました。

しかし、令和2年の法改正の結果、罰則が強化されたことに伴い、同手続の利用件数は増加しています。

次に、②情報取得手続きについてですが、これは➀と異なり、債務者以外の第三者に債務者の有する財産の情報を回答してもらうというものです。

具体的には、法務局には不動産の情報を、金融機関には預金の有無を、市町村には給与に関する情報を開示してもらうよう求めることができます(給与債権の情報の開示請求は養育費等の不払いの場合に限られます)

➀と異なり、②については回答が得られることが前提なので、非常に便利な制度といえます。

これらの制度を通じて相手方の財産を調査した後、その財産に対して差し押さえなどの強制執行を実行することで不払いとなっていた養育費の回収が実現することとなります。