両親の離婚はその間のお子さんの生活や身分関係に大きな影響を与えます。
日本の現行法では離婚に伴い共同親権ではなくなり、非監護親(一緒に生活しなくなった方の親)との接点は、養育費や面会が主になり、その他の接点は薄れていくのが通常です。
当然、お子さんからすれば、いずれの親と生活するかは自分の人生に大きな影響を与える重大事ですから、場合によっては親の意向とは別に、自分自身でこれを決めたいと考える場合もあると思います。
他方で、実際上はお子さんの意向はそこまで重視されず、父母の話し合いなどで親権者が決まってしまっているのも実情です。
しかし、家事手続き上は、子が15歳以上の場合、子ども自身の意向を聴取することが求められています(家事事件手続法169条2項ほか)。これは、手続き上必須なので、15歳以上の子の場合には裁判所から必ずこの聴取が実施されるという意味です。
そうすると、15歳未満の場合にはどうするのか、まったく聞かなくてよいのか、という問題がありますが、実際上は、15歳未満であっても、相応の年齢や分別が伴うお子さんの場合、何らかの形で意向を聴取することがあります。これは、必須ではないので、常に聴取があるということではありませんが、上記の家事事件手続法の趣旨を踏まえて、聴取することがあるという趣旨です。
いずれにしても、現在の裁判所の手続き上では、離婚に伴い親権についてのお子さんの意向を尊重していると言えます。
他方で、残念ながら協議離婚の場においてはこのような手続きは必須とされておらず、必ずしもお子さんの意向が尊重されているとか言いきれない部分があります。